幸せの黄色いホーン レコードプレーヤー製作記 12話 ロングタイプのリニアブッシュ


今まで使用してきたSUJ2(高炭素クロム軸受鋼) のリニアシャフトからステンレス製のリニアシャフトに変更してみました。
錆びない?というか、もしかすると値段が高いので滑りが違うのでは?という淡い期待です。
しかし、期待は裏切られ表面の滑らかさは同じ…
結局、ピカールで磨くことになりました。



ステンレスリニアシャフトは硬度HRCが56以上、SUJ2のリニアシャフトは硬度HRC60以上と、鋼材の方が硬いようです。
ステンレスリニアシャフト、SUJ2のリニアシャフトの何れも高周波焼入処理を施してあるそうです。
なお、SUJ2という鋼材はリニアブッシュのベアリングボールや外筒部分にも使用されています。



同時にモノタロウでセットカラーというものも入手しました。
セットカラーというものが存在することさえ知らなかったのですが、モノタロウの商品をあれこれ見ているうちに見つけました。



内径5mm、外径11mm、幅5mmというのを4つ。
小さなネジがついていて、内径5mmの穴にシャフトを固定することが出来ます。
パイジョンの取り付け穴は13mm径なので、厚さ1mm、直径12mmのパイプを半分に切ってやや広げて挟み込みます。
あとの隙間はアルミテープで調整。
簡単にがっちりと取り付けることができました。

YouTube"DIY Linear Tracking Tonearm by kiirojbl 3"

ステンレス製のリニアシャフトと同時に入手したのがロングタイプのリニアブッシュです。
長い方がLM5L、短い方が従来使用してきたLM5。
LM5は全長15mm、重さ4g、一方LM5Lは29mm、8gと、ちょうど2倍の大きさです。



LM5Lのようなロングタイプは下の断面図のように、1条のベアリング条列がLM5と同等の長さの2つのベアリング条列から構成されています。



LM5Lは慣らし運転を開始したばかりの状態でもLM5と比較するとギクシャクした動きがかなり少ないです。
また、リニアシャフトを滑らせたときの感触に精密感が感じられるようになりました。

さらに過酷なトラッキングテストを行いました。
反ったレコードの穴を、電動ドリルに装着した円筒形のやすりでやや広げ、1.5mmほど偏心させました。
これ以上偏心させると、酷い回転ムラの音になるため、この程度の偏心量が事実上の限界です。

YouTube"DIY Linear Tracking Tonearm by kiirojbl 4"

このYouTubeの動画を見ていると、なんだか不思議な感じがします。
どうしてこんなに自在に動けるのかな?



ここで5mm径リニアシャフトとLM5Lの組み合わせから、4mm径リニアシャフトとLM4Lの組み合わせへ変更。
軽量化するとどうなるのかという実験です。
上の画像の左側は、LM5Lと10mm径アルミパイプ(長さ250mm)とPF200の組み合わせ。
この状態で計測すると39.4g。

右側が新型。
直径4mmのリニアシャフト用のLM4Lと8mm径アルミパイプ(長さ200mm)とPE200との組み合わせ。
この状態で約10g軽い29.6gです。
なお、カウンターウェイト、ヘッドシェル、カートリッジを加えたフル装備状態では70.9g。



右側の4mm径リニアシャフトの右端には、セットカラーを3つ取付けました。
このカラーの外径は12mm、そしてこれを取付けるパイジョンの穴径は13mm。
ぴったりの外径になるようにアルミテープをカラーに巻きました



左が5mm径用のLM5L、右が4mm径用のLM4Lです。
LM4Lは重さが4gであり、LM5Lの半分の重さです。

期待のLM4Lの新型アームを取付けてみると、何か変です。
3.5gの針圧なのに、ミストラッキングが生じます。
LM4Lの滑り具合はLM5Lと同じような感じなのに…



いろいろ調べてみると、リニアシャフトが水平ではなくレコードの内周側に向かって微妙に上り坂になるように傾斜していました。
セットカラーに巻いたアルミテープの巻き方が良くなかったようです。
アルミテープを丁寧に巻き直すとミストラッキングを生じなくなりました。
リニアシャフトをよく磨いたり、リニアシャフトの水平状態をきちんと確保するという地道な作業が大切だと思いました。


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