幸せの黄色いホーン レコードプレーヤー製作記 10話 最初のころの滑り具合


とりあえず試作機が完成し、トレース実験ができる状態になりました。
そして、THKのLM5と日本ベアリングのSM5が到着。
LM5やSM5をアームに取付ける前にリニアシャフトに通し、その滑り具合を確かめてみると…
がっくり。
何れも滑りが悪いのです。



とりあえずLM5を選択し、CRC-5-56をリニアブッシュの内側に吹きかけてみました。
CRC 5-56によりリニアブッシュのベアリングのグリスが溶かされたようで滑り具合がかなり改善されました。
なお、後で分かったことなのですが、溶かされたのはグリスではなくサビ止め剤でした。
THKのパンフレットにサビ止め剤を5-56などで洗浄してから使用せよとの指示が記載されていました。

いよいよトレース実験。
5-56によってやや滑り具合はよくなったものの、最初のころは頻繁に同じ溝をトレースしました。
レコードが一周してもアームが水平移動していないため針飛びをおこし、同じ溝をトレースするという状態です。
机を"ドン"と叩くと、リニアブッシュとリニアシャフトのひっかかりが外れるのか、また正常な再生を続けます。

そこでリニアシャフトをピカールで軽く磨いてみました。
リニアシャフトは単なる鋼(はがね)の棒ではなく、高周波焼入れがされており、その表面の平滑性についても数値が示されています。
このようなものをピカールなんかで磨いていいものか?と躊躇しましたが、滑りが悪い以上、情け容赦は無用です。
しかし、どの程度磨いたらいいものか…自信がないのでちょっとだけ磨いてみました。

さらに、リニアブッシュのベアリングの潤滑油として、サラダオイルやミシン油を塗布してみました。
こんなことをしているうちに、滑りがやや良くなり、同じ溝をトレースする回数が減りました。

しかし、アームに取付けたリニアブッシュの水平方向の動きを見ていると一定の速度で動いていません。
スッ、スッー、スッという具合に動いている。
リニアブッシュの動き始めの感度が低いためだと思います。

なかなかうまくいかないものだなぁ、というのが感想。
でも、出ている音は変ではない。
そうすると、うまくいかないにしては、うまくいっているような気がします。
使いやすいようにリニアトラッキングアームの配置を変更してみました。



後に分かることなのですが、この初期段階ではリニアシャフトをあまり磨いていないため滑りが悪いのです。
また、サラダオイルやミシン油では粘度が高すぎました。
CRC 5-56のような粘度の低いサラサラの潤滑油が必要です。

モガミの2706は、トラッキング性能やアームのバランスには全く影響を与えていないと思います。
非常に柔らかく、また、極めて軽量なため、演奏中に触ってもアームの動きや音に変化はありません。

下の画像は、アームパイプと支持部材を上下逆転させたタイプ。
メリットは感じられませんでした。




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