カタログ散策 11話 プレシジョンデバイシズ社の大型ウーハー

強暴なユニットに吹き飛ばされてフワリと宙を舞ってみたい! そんなあなたのご要望に答えてくれるのが英国のプレシジョンデバイシズ(Precision Devices)社。ジョンブル魂を感じさせる巨大かつ強力無比な業務用ウーハーを製造しています。

最初にご紹介するのは、46cm(18インチ)口径のPD.1850。
このPD.1850の重量は、なんと22kgもあります。磁気回路の重量は17.27kg。フェライトマグネット重量は4.8kgです。通常の46cmウーハーですと重量は10kgから13kg、マグネット重量は2kg前後ですから、とにかく強力です。振動系の実効質量であるMmsは216.4gと重く、Fsは30Hz、Qtsは0.21となっていますから比較的小型の箱に入れることが可能です。推薦実効容積は90Lから220Lです。なお、パンフレットに記載されている特性グラフは164Lのバスレフ(残念ながらダクト寸法は不明です)に入れて測定されています。


PD.1850

46cmウーハーの磁気回路は38cmウーハーの磁気回路を流用する場合が多いのですが、このユニットは専用設計。フェライトマグネットはドーナツ型ではなく4分割されているようです。ドーナツ型にすると大きすぎて着磁作業に問題があるからでしょう。サスペンション(ダンパー)はご覧のようなダブルサスペンション。ボイスコイルも口径5インチ(127mm)の銅ボイスコイルです。


PD社の他のウーハーの断面図です

お次は、61cm(24インチ)口径のPD.2450。
現行の業務用ウーハーの中では世界最大の口径となります。業務用の場合にはユニットを大口径にすると箱も大きくなるため、大口径化は避けられています。46cmウーハーでもPAで必要とされる最低域までは十分に再生できるわけですし、箱の大きさが同じなら許容入力を稼ぐために46cmのダブルウーハーにした方が現実的だからです。そうした事情をものともせず、オーディエンスを地の果てまでも吹き飛ばしてしまう24インチ砲を堂々と製造しているPD社はエライ!としか言いようがありません。


PD.2450

このユニットの重量は、なんとなんと36kgもあります。これはスピーカーユニットの重量というよりはスピーカーシステムの重量ですね。磁気回路の重量は27.2kg、フェライトマグネット重量は6.12kg。まさに怪物です。使用目的が異なるため直接比較するのはナンセンスですが、超低音再生用に特化したお化けウーハーのFW800Nは、重量20.7kg、Qts(0.69!)を稼ぐためフェライトマグネット重量は2.03kgに抑えられています。

PD.2450のMmsは342.347g、Fsは30.447Hz、Qtsは0.33です。バスレフ向きの使いやすそうな特性ですね。推薦実効容積は130Lから400L、300Lぐらいでいけそうです。ボイスコイルは6インチ(152mm)銅ボイスコイルであり、このユニットもダブルサスペンションです。

最後は、54cm(21インチ)口径のPD.2150。
こちらはPD.2450とはちがってノンコルゲーションのコーン紙が怪しい感じ。サブウーハー用じゃないような・・・ ユニット重量は31.75kgですが、磁気回路重量とフェライトマグネット重量はPD.2450と同じです。また、ボイスコイルも6インチ銅ボイスコイルと同じで、これもダブルサスペンション。要するにこちらの方が相対的に磁気回路が強力なわけです。Mmsは305g、Fsは22Hz、Qtsは0.19。推薦実効容積は130Lから350L。


PD.2150

Fsが低く、Qtsも小さいのでハイコンプライアンス型のようにも思えますが、箱の計算ソフトで調べてみるとバスレフ向きではないような気がします。それにハイコンを狙うなら磁気回路をPD.1850と共用させるのが普通のやり方じゃないかしら? ちなみにSpeakerPlans.comでは、このユニットを使用したバックロードの設計図を公開しています。このPD.2150はフロントロードやバックロード向きだと思います。DIYオーディオには面白いユニットかも。

サウンドハウスでPD社のPD.122が輸入されているので、ここに頼めば同社のユニットは入手できそうです。それにしても、英国のユニットは変わったものが多いですよね。

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