カタログ散策 09話 46cmウーハーを搭載したシステム

46cmユニットを搭載したシステムは非常に少ないです。どうしてなのかはローライダー18の低音を聴いてから納得しました。家庭内で使用するには低域のエネルギー量が大きすぎるからだと思います。

46cmウーハーを搭載したシステムを調べてみると、まず、米国のWestlake Audio社のSM−1があります。これはTADのユニットと思われる46cmをダブルで搭載した5ウェイのモニタースピーカーです。大きさは99cm×124.5cm×81.3cm、重さは約204kgあります。

ミッドローは30cm、ミッドハイは2インチスロート+木製ホーン、ツイーターは1インチスロート+木製ホーン、ホーン型スーパーツィーターという構成です。クロスオーバーは200Hz、800Hz、3.2kHz、10kHzだそうです。豪華なシステムです。


SM−1

同社にはSM−1と同様のユニット構成のTOWER SM−1というシステムもあります。こちらは190.5cm×101.3cm×75cmで重さはSM−1の約2倍の442kgもあります。ちなみにアップライトピアノの重さはだいたい250kgです。米国の巨木セコイアを連想させるような威容です。


TOWER SM−1

次は、GENELEC社の1036Aというモニタースピーカーです。46cmダブルウーハーを搭載した3ウェイマルチアンプシステムであり、専用のアンプとチャンネルデバイダが付属します。118cm×96cm×65cmで重さ182kg。ミッドは13cmコーン型+ウェイブガイドホーン、ツィーターは1インチコンプレッションドライバーです。24dB/octの遮断特性により400Hz、3.5kHzでクロスします。400Hzというのはモニタースピーカーとしてはちょっと高めですが、これはミッドのコーン型ユニットの負担を減らすためだと思います。


1036A

かなり以前の機種ですがテクニクスのSB−10000という46cm3ウェイの家庭用システムがありました(発売は1977年だそうです)。当時のテクニクスは同社の最高機種だけに10000番という型番を与えていました。国産スピーカーとしては非常に珍しい4インチダイアフラムのコンプレッションドライバを採用しています。クロスは700Hzと6.5kHzです。大きさは111.5cm×120cm×70.5cmあり、重さは140kgでした。このシステムの存在が幸せの黄色いホーンシステムに46cmウーハーを導入させるきっかけとなりました。なおLINKSの「オーディオ懐古録」に詳細な解説が掲載されています。


SB−10000

この他にもJBL社の4345、TANNOY社のKINGDOM、Electro Voice社のGeogian U(B)等がありました。また、RAY AUDIO社にはPA用のME1800Vという機種があります。これは46cmウーハーのバーチカルツイン構成であり、2360Aを二回りほど小さくしたようなホーンが箱の中央に設けられています。詳細は不明です。

JBL社には2004年に発売された最新型のSRX738という魅力的なシステムがあります。サウンドハウスで価格を調べてみると一本約19万円です。自作スピーカーである幸せの黄色いホーンシステムが一本約18万円ですから割安感があります。JBL社には、以前、SR4738Aという46cm3ウェイシステムがありましたが、旧SRXシリーズでは46cm3ウェイシステムがラインアップから外れていました。それが復活したということになります。でもSRX738とSR4738Aのシステム構成は完全に異なります。


SRX738

このSRX738は2268Hという最新型の46cmウーハーを備えています。このユニットの詳細は不明ですが、ネオジウム磁石を用いたデファレンシャルドライブ型であり、パンフレットにはサブウーハーを必要としないとの記載がありました。ちなみに、SRX700シリーズのサブウーハーシステムであるSRX718SとSRX728Sにはこの2268Hが使用されています。


SRXシリーズ(中央の3ウェイがSRX738)

ミッドはCMCDホーンです(詳しくはカタログ散策07話大型ホーンのお話を参照して下さい)。使用されているドライバーは20cmコーン型のCMCD−81Hです。ユニットは2169Hという型番でも呼ばれているようです。これもネオジウム磁石を用いたディファレンシャルドライブ型です。4インチスロートのプログレッシブトランジションウエーブガイドホーンと組み合わせて使用されています。ツィーターは3インチアルミダイアフラムのコンプレッションドライバである2431Hです。これもネオジウム磁石が用いられています。家庭で使用する場合には2405H等をスーパーツィーターとして加える楽しみもありそうです。なお、能率は95dB、ミッドとツィーター部分の能率は108dB(バイアンプドライブを行った場合)あります。

空芯コイルとフィルムコンデンサを用いた良質なネットワークも内蔵されています。クロスは350Hzと2kHです。またネットワーク部のスイッチの切替によりバイアンプドライブも可能です。この場合ウーハーにはネットワークは介在せず、ミッドのローパスとツィーターのハイパスだけが介在します。箱もしっかりしているようです。箱の板厚は軽量化を図るため15mmと薄いですが、MDFではなくバーチ材の11層!の合板製でホゾ組みされています。大音量でのテストを徹底的に行ったと紹介されていましたから、家庭内での使用では箱鳴りの心配はないと思います。大きさは109.2cm×54.1cm×64.8cmであり、重さは43kgと軽量です。同社のS9800や4348と比較しても互角以上の内容を持ち、また、使用されている全てのユニットがJBL社の最新型なので今一番興味を持っているシステムです。

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