幸せの黄色いホーン 83話 モノラル6ウェイの音出し

ようやくモノラル6ウェイの音出しです。遅々として進まず、いつになったらステレオで聴けるのか皆目見当がつきません。でも、モノラル4ウェイ、5ウェイと少しずつ経験を積むことができました。モノラル5ウェイでは大きな問題点が2つありました。まず、2192に今ひとつ鮮やかさが足りないのです。これはME15+DE500を導入した際に2451Hの高域端側をブーストする帯域別のEQ(JBL社指定のEQ)を外してしまったことが原因。これを復活させME15+DE500の帯域と折り合いがつくような新たな設定を探りました。

もう一つは低域の力が全然なかったこと。V字型バッフルのウーファー部は中低域のレベルが盛り上がっており、これを帯域別のEQでカットする必要があるのです。これを怠ったままレベル合わせをすると低域が引っ込み、つかみどころのない低音になってしまいます。また、ウーファー部とサブウーファー部のクロスが100Hzと高めだったのも原因の一つでした。この他にもDCX2496の出力レベルの設定が高すぎたため入力レベルが大きくなるとSN比が悪くなったような歪んだ音になってしまうという基本的なミスもありました。こうした問題点を一つ一つ解決しながら様々な設定による音の変化を学ばせてもらいました。



1008−8HEを加えた6ウェイの音出しの話に戻しましょう。ミッドベースは25cmダブルですが、モノラルなので面白半分に左右2つの箱をシリーズ接続して4発の1008−8HEで鳴らすことにしました。ツィーターもついでにダブルにしました。また、少し前にV字型バッフルのウーファー部も左右2つの箱をシリーズで接続して4発ウーファーにしています。

AVアンプには5つのパワーアンプが搭載されているだけなので、このままではモノラル6ウェイに対応できません。そこでAVアンプのサブウーファー用入出力端子を利用することにしました。なお、サブウーファー用入出力端子を経由する場合にはAVアンプ内に設けられているローパスフィルターが介在します。DCX2496による遮断特性(75Hz)への影響を少なくするために、いくつか設定されているカットオフ周波数の中から一番高い200Hzを選択しました。

サブウーファー用の出力端子に接続するために購入したパワーアンプはSALのES−70です。44話でご紹介したアンプではなく新たに購入しました。このES70の外装はペンキ塗装仕上げではなく美しくなっていました。また、スピコンコネクタもノイトリック社製のものに変更されています。その上、価格もわずかに安くなっていました。なお、ES−70はブリッジ接続には対応しておりません。

音出ししながらちょこちょことレベル調整をしてゆきます。と、これはどうしたことでしょう。もの凄い音になってきました。エネルギーが漲っているというか猛烈な迫力です。音がグンと太くなり、そして厚い。凶暴とも言えるドライブ感! 負けじとホーン部のレベルを上げてゆくと、今度はその猛烈な迫力にハイビジョンのような鮮明さが加わり、これは狂喜の世界に。

このミッドベースによるリッチな中低域の質感、これは今まで大型ホーンとウーファー部を直接クロスさせていたシステムでは聴くことができませんでした。どうしちゃったのかしら?と原因を探るためにDCX2496のミュート機能を使って各帯域別の音を順に聴いてゆくと、低音のエネルギー感のほとんどはV字型バッフルのウーファー部が受け持っていることが分かるのですが、ミッドベース部やサブウーファー部が受け持つ帯域はこの迫力と関係するような無関係のような微妙な帯域であるように感じます。でも、このミッドベース、きっとかなり影響を与えているように思えます。



また、ミッドベースの導入によりV字型バッフルのウーファー部のレベル調整が容易なものになりました。ウーファー部のレベルを上げ下げしても中低域にはその影響を与えないのです。これ当たり前。でも、システム全体のコントロールもとても分かりやすくなったのです。レベル設定の変更が音の変化として意図どおりに反映される気持ち良さ、これははじめて体験しました。

設定はこんな感じに落ち着いてきました。なお、表示されている周波数はDCX2496が対応している周波数によるものであり1Hz単位で調整しているわけではありません。遮断特性は全てLinkwitz-Rileyの−24dB/oct。1008−8HEは両端域がかぶってます。

ME15+DE500(DOUBLE)  4.98kHz〜
2332+2450H  1.64kHz〜4.98kHz  EQ1:BP(Q:0.2)/3.46kHz/-3dB  EQ2:HP(12dB/oct)/6.57kHz/+0.5dB
2392+2490H  266Hz〜1.24kHz  EQ:BP(Q:0.3)/634Hz/-3dB
1008-8HE(QUAD)  100Hz〜296Hz
1508-8ALCP(QUAD)  50Hz〜111Hz  EQ:HP(12dB/oct)/148Hz/-8dB
1808-8HPS  〜75Hz  EQ:BP(Q:2.8)/35Hz/+4dB

今後の設定のテーマは中低域の質感をどうするかということになると思います。「生命力があっていなせな雰囲気の1008−8HEの音」VS.「浸透力があり深く澄んだ2392+2490Hの音」何れに支配権を与えるのか? 優柔不断ですからDCX2496の設定はあれこれ状態になるでしょう。

こうしてミッドベースの導入は予想外の、そして久々のヒットになりました。システム全体の音もやっと合格点。2192は本当に手強いホーンでしたが、ようやく使い方が分かってきました。こうなるともっとアグレッシブに様々な設定に挑戦できそうです。−48dB/octの遮断特性に挑戦したり、2392+2490Hと1008−8HEとを全く同じ帯域で鳴らしてみる、さらに、ME15+DE500によるダブルツィーター化により高域に余裕が出てきているので2332+2450Hと2392+2490Hのクロスやイコライジングの大胆な見直しも。タイトルは「ミッドベースはマルチアンプを加速するっ!」って加速してどこに行くつもり?

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