幸せの黄色いホーン 64話 2色ホーンシステムの音出し(2)

ボリュームを上げてゆくと・・・「低音はモヤモヤボウボウのお団子状態。2色ホーンの中高域も曇り空、しかもホーン臭い。パニックの中でCDを何枚も取り替えてみたものの全滅。この脱力感、頬をつたう涙・・・」という悪夢のような展開を想像していたのですが、とんでもございません。

心配していた2色ホーン、これがぜんぜんホーン臭くないのです。表情が豊かで極めてナチュラル。CH−1という比較的大きな定指向性ホーンをダブルホーンとして使用しているせいかホーン特有の刺激感が皆無ですし、うれしいことに音が細くならない。1.75インチダイアフラムの2155Hのドライバー(2416H)は細身の音だったので、そういう傾向を覚悟していたのですが、CH−1+RX22(2インチダイアフラム)の音には厚みがあります。

2360A+2446Hの音が生まれ出てくるような(妻の感想)異常なまでの鮮やかさや力強さには今一歩及びませんが、それでも鮮度の高く歪感のない音を聴かせてくれます。それに高域側が美しい。この美しさは2360A+2446Hよりも一枚上手。なお、イコライジングした状態では高域も適度に伸びています。

V字型バッフルのウーハー部はボンつきや混濁するような感じがなく一安心。ボンボンドンドンという音は皆無。ダイレクトラジエタータイプとは異なり押し出し感があります。また音色の傾向としては弾むような躍動感があります。この躍動感はV字型バッフルの特徴ではなく、おそらく1508−8ALCPのキャラクター。フロントロード箱でも音色のキャラクターはユニットのキャラクターに支配されているからです。この1508−8ALCPはローライダー18よりも1808−8SPSの音の傾向に似ています。

擬似V字型バッフル+ローライダー18のサブウーハーについては貧弱なAVアンプなんかで46cmウーハーを駆動できるの?って先入観がありました。しかし、この先入観は外れました。パンチがあって戦闘的。家庭用サブウーハーの低音とはまったく異なる性質。同じローライダー18の黄色いホーンシステムの低音よりもずっと楽しめます。この低音を聴きながら思ったのはウーハーの空振り現象のこと。擬似V字型バッフルではウーハーユニットの周囲三方と対向面側が閉鎖されているため、空振り現象が極度に押さえ込まれているのでは?

それから最低域の指向性なんかコントロールできるわけがないと勝手に思い込んでいたのですが、擬似V字型バッフルの開口部から最低域の低音が前方へ叩き出されてくるのです。箱の容積が減少してしまうにもかかわらず業務用のサブウーハーシステムにV字型バッフルをわざわざ採用している理由、納得です。

全体的には大型スピーカーらしい鳴りっぷりの良さを感じさせるシステムです。JBLのような細身で乾いた感じではなく、艶があり濃密。また躍動感があるため音楽の情感のうねりをよく伝えてくる。色々苦労しましたが、うまくいったのでとても幸せな気分です。モタモタ病も悪くないかも。



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