幸せの黄色いホーン 35話 棚上げになっていた計画

2155Hの代わる新しいウーハー部として、2226H×2を水平方向に横並びにした38cmダブルウーハーを考えていました。理由は簡単、カッコいいからです。ところが、4675(11話 終着兵器(2)に画像が掲載されています)のウーハー部である4648Aのパンフレットに掲載されているレスポンスグラフを見てから考えてしまいました。このグラフによると、水平方向の指向性に比べて垂直方向の指向性が乱れています。



4648Aはウーハーが縦並びですから、この250Hz以上での垂直方向の指向性の乱れはウーハー間の干渉によるものなのでしょう。ダブルウーハーを水平方向に並べれば、当然、水平方向の指向性が悪化してしまいます。

そういえば4350のクロスオーバー周波数は250Hzです。これは、ダブルウーハーの相互干渉による音の濁りを回避するためかもしれません。また、4435では箱を2室に分け、片側のウーハーを100Hzでカットしています。これも同じ目的だと思います。

一方、上記の4648Aの推薦クロスオーバー周波数は500Hz(12dB/oct)から800Hz(18dB/oct)になっています。音の混濁感を問題にしなければ、水平方向の指向性は悪くありませんし、垂直方向の指向性はさほど重視されないからでしょう。また、4350等のスタジオモニター用の設計とPA用の設計は違う、ということなのかもしれません。

解決方法としてクロスを250Hz程度まで下げればよいのですが、2360A+2446Hではそんなに下まで使うことができません。4350のようにミッドローを加えればこの問題は解決しますが、それでは2360Aのような大型ホーンを使う意味が薄れてくるように思えます。2つのウーハーを縦に並べると箱の高さが高くなりすぎますし、高さを詰めると下側のウーハーと床との距離がとれません。

高校生のころ10F−60(コーラル製の25cmフルレンジ)を縦並びにしたダブルウーハーシステムを作りました。このシステムの箱の内部は55リットルと90リットルの2室に分割されていました。そして、容積による影響がどのようなものであるのかを知るために、一つのユニットだけ駆動するという実験をしてみたことがあります。結果は、容積の影響よりもダブルウーハーとシングルウーハーの差の方が顕著でした。ダブルだと迫力が増すのですが混濁した感じを受け、シングルの方が鮮明な音だったのです。ダブルの方が良いに決まっていると思い込んでいたので、この結果にはショックを受けました。

こうした経験のほかに、業務用の高能率型ユニットを使用して家庭用のシステムを作る場合、業務用システムとは異なったアプローチを考える必要があると思っています。また、大音量ではなく中音量で聴く程度ですから、大音量再生に有利なダブルウーハーシステムのメリットを活かせないような気がします。

こうした理由から38cmダブルウーハーへの興味が冷めてしまいました。その後、46cmのシングルウーハー部を考え始めたのですが、1808−8SPSの音を聴くまでは46cmウーハーの音に対して自信が持てず、結局、新しいウーハー部の計画は棚上げになっていました。

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