幸せの黄色いホーン 115話 ダークサイド留学

2013年3月23日、久しぶりにヨハネスさんのダークサイドに行ってきました。この2年ぐらいの間にヨハネスさんのシステムは大幅な変更があり、これは是非学ばせてもらわなければと思っておりました。2010年12月、デジタルチャンネルディバイダーのDBX4800がダークサイドに出現。DBX4800の導入は、マルチアンプの調整の容易性(メモリーによる設定の復元容易性)と、レコードプレーヤーのゴロ等の低音成分のカットが目的だったそうです。同時にアムクロンのK1、K2によるパワーアンプ群をLAB GURUPPEN(ラブグルッペン)に変更。さらに、自作PCによるPCオーディオ(配信ソフトの再生)も開始されます。また、SCULLY(スカーリー)のカッティングレースのレストアとアンペックス440の導入と、4系統の音の入口も充実。スピーカーシステム以外、以前から継続して使用している機器はCDプレーヤーのスチューダA730だけになっていました。

ヨハネスさんのチャンネルディバイダーは長い間Urei525でした。これはシステムの肝とも言うべき機種であり、今後変更されることはなかろうと思っていました。ヨハネスさんはデジタルに対し懐疑的だったため、DBX4800の導入かなり衝撃的な事件だったのです。大規模なマルチアンプシステムの場合、信用していない機器を導入することは難しい。マルチアンプシステムで音を練り上げる作業において、そうした機器が紛れ込んでいると、音に対する疑問がその機器に集中してしまい作業が進みません。当然音もまとまらない。DBX4800の導入に踏み切ったのは、JBL DSC280による30Wの制御がうまくいったからだそうです。この最低域の設定がアナログチャンネルディバイダーでは難しかったのだそうです。

閑話休題。ヨハネスさんの玄関でベルを鳴らすと奥様が迎えてくれました。初めてお会いしたのですが大変綺麗な方!なのですよ。たじろいてしまってろくな挨拶もできない始末。それに奥様に抱っこされているワンちゃんが賢い。こやつ、おとがでるだけ氏よりもかなり礼儀正しい。ダークサイドに通されると、これから掃除をしようと掃除機を出しているヨハネスさんがおりました。お昼はM支配人のお店へ。アンティークのランプ(アンプじゃないよ)が沢山あるしゃれたお店です。これらのランプは電球式で日常の生活で使えるものです。雰囲気のある2灯タイプのものがあり買おうかと思ったのですが、片方のガラスのカバー(火屋をカバーしている)を割ってしまったそうで買えませんでした。お店のカレーとソフトクリームは大変おいしかったです。M支配人お手製のチーズケーキも。最後にフライドポテトを頂き満腹です。



オーディオの話に戻しましょう。スピーカーシステムの前に立ってみると、ノイズが非常に小さくなっており、そのノイズも肌理の細かい柔らかなものでした。音を聴かせて頂くと、これはダークサイドシステムの迫力があって厚みのある音をベースに緻密で正確な音になっていました。低域から高域まで各スピーカーユニットがシームレスでつながっており、どこかの帯域が浮き上がっているようなことがありません。中低域の厚みというか、躍動感は大したもので、フロントロードホーンのJBL 4550特有の奥のほうから音がグワッと押出されてくるエモーショナルな感じが素晴らしい。これは黄色いホーンシステムが逆立ちしてもかなわない。うむむむむ。

ラブグルッペンのパワーアンプはスピーカーユニットに過電流を流さないための保護回路があり、サブウーファーの30Wは、シングルウーファーでも大入力で破壊されないそうです。このため、片方の30Wは配線がされておらず、パッシブラジエターとして動作させているそうです。今回、その世界最大とも言えるパッシブラジエターシステムを聴くことができたのですが、パッシブラジエター特有のクセが全く感じられませんでした。その特有の音は最低域よりももっと上の帯域で発生しているのでしょう。これが体験できたことは収穫です。

ボーカルを聴かせて頂くと、定位が実に安定しています。ビシッとシステムの真ん中に音像がくる。ヨハネスさんによると、6ウェイの各帯域毎に左右バランスを合わせ込むことが必要だとのことでした。そして、デジタルチャンネルディバイダーはこうした作業においても利便性が高く、また調整後の安定性に優れるそうです。アナログチャンネルディバイダーは使ったことがないので今ひとつ理解できませんでしたが、やはり6ウェイのマルチアンプシステムともなるとデジタルチャンネルディバイダーの方が扱いやすいようです。

ボリューム調整は2台のDBX4800とパワーアンプ群との間にSPLのVolume8を2台接続しています。DBX4800もVolume8もモノラル使いになっており、ボリューム調整は左右chを独立して調整することになりますが、このVolume8のボリュームには緻密な目盛りがついており、また、極めてスムーズに動くボリュームノブの大きさが適度に大きいこともあって、左右独立のボリューム調整でも全く問題がありませんでした。

今回はCDとPCによる配信ソフトを聴かせて頂きました。デジタルパッチベイのt.c.electronic dgitalkonnekt x32、2台のDBX4800、そしてPCの音源ボードは、マスタークロックジェネレーターであるミューテックのIDの96kHzのクロック信号により同期しています。このクロックジェネレーターによる同期はかなりの効果があるとのことです。PCによる配信ソフトはベルリンフィルの直営サイトからベルリンフィルのコンサートを視聴できるというものでした。年間会員(2万円程度)になると1年間無制限で視聴(ダウンロード不可)できるとのこと。膨大なアーカイブは宝の山だよ、とヨハネスさんはおっしゃっていました。確かにベルリンフィルの最新のコンサートが居ながらにして聴けるというのは魅力的です。しかも配信ソフトのサンプリング周波数は96kHz。録音も感心するほど素晴らしいものがあるとのことでした。このPCによる配信ソフトに大変興味を持ちました。

ダークサイドにおけるデジタル機器やPCオーディオの導入は大成功ではないかと思いました。音を聴いた感じでもデジタル機器で制御されているような印象は全く感じられません。オーディオは真面目に取り組むとどんどん素晴らしい音になってゆく、というのを実感できた今回のダークサイド留学、実り多きものになりました。ヨハネスさん、ありがとうございました。(2013/03/24)


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