幸せの黄色いホーン 112話 ヨハネスさんと黄色いホーン(2)

ヨハネスさんの密閉化の実験は大成功。そこで黄色いホーンシステムの10インチの箱と18インチの箱を本格的に密閉化することにしました。ダクトを塞ぐ板はネットショップにアクリル板をカットしてもらいました。ホームセンターでの合板のカット代や水性ニス代などを考えるとアクリル板の方が安価ですし、仕上げの手間も省けるからです。



10mm厚と5mm厚のアクリル板の間に黄色い画用紙を挟み込みました。表札のような雰囲気。ネジの間隔は文房具のパンチの間隔です。パンチで画用紙にあけた小穴の位置にあわせてアクリル板に穴をあけました。画用紙を挟み込んだ状態で四隅をテープで仮止めしておき、箱にネジ止めした後にテープをはがしました。ダクトの内部には60mm圧のスポンジを詰め込み、これで密閉化完了。



密閉化による低域側のレスポンス低下はイコライジングにより補うことにしました。WinISDを使ってそれぞれの密閉箱での特性をシミュレート。そのグラフを見ながら、SH−D1000のEQCDというソフトでその密閉箱の特性を補正するカーブを検討しました。この補正カーブを設定して聴いてみると失われていた低音感が戻ってきました。理屈としては当たり前ですが、こうして低域がパワフルに鳴り出すと、にわかには信じがたい気持ちになりましたと、ここまでは良かったのです…

慣れてくると調子にのって低域側のレベルを上げ、イコライジングも欲張った設定に。さらに、システム全体のレベル設定も変更し、低音がたっぷり入っているCDを次々にかけて、バスレフに劣らない低音の量感にすっかり有頂天になってしまいました。このおばかな低音有頂天騒ぎが7月2日の深夜のこと。そして前回から約1ヶ月後の7月3日、再びヨハネスさんが来てくれました。「今日は設定なんかしないよ。聴かせてもらうだけだから。」とニコニコ。

当然、そのままで済む訳がございません。ヨハネスさんの前回の設定を呼び出し、それに低域の補正カーブを加えたところから再スタート。ヨハネスさんの指示に従ってレベル設定を変えてゆきます。やはり凄い。どんどん良くなっていきます。低域のレベルを絞っても低音の姿が明確になれば、それで十分な低音感を得られることが今回初めて分かりました。さらに、分かったことは使い手の頭の中身がとても重要だということ。はい、オーディオの良し悪しは機材の良し悪しではないのです…

それからリニアトラッキングアームのレコードプレーヤーも聴いて頂きました。「音量を上げるとジーというノイズが聴こえるのです。」と言うと、「モーターの電源部のアースをとった? 電源スイッチを切ってみてノイズが消えればそれが原因。」とのアドバイス。即座に解決。確かに電源部のアースをとり忘れていました。リニアトラッキングアームはミストラッキングすることなく動作したので一安心。もう少し針圧を上げたらどうかというのがヨハネスさんの感想。針圧を軽くすることばかり考えていたので、これは気付きませんでした。

今回も脱帽です。こちらは女性ボーカルでないとレベル調整ができないのに、クラシックの楽器の音のみで調整完了。その後、女性ボーカル等のCDを聴くとちゃんと調整ができていることがようやく分かる始末。そのほか、測定もしていないのに部屋やシステムの各帯域のクセを把握されているように思えます。設定の変更の指示内容からそれが分かるとドキッとしました。ヨハネスさんは立派な人間音響アナライザー、こちらは穴があったら入りたいさ〜。それでも楽しいひと時でした。ヨハネスさん、ありがとうございました。また、来てくださいね!


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