幸せの黄色いホーン 103話 ヨハネスさんと白ホーンシステム

2009年3月15日、春の日曜日、穏やかな午後、数km離れた駅前で待ち合わせ。落ち着かない。家に居られない。車で駅の周囲をグルグル巡回しながら時間をつぶす。どうしたものかと悩む。どこの馬の骨とも知れぬ18インチを埋め込み、ペンキをベタベタ塗りたくり、白ホーンシステムなどというフザケた命名。調子に乗ってこんなことをすれば、相応の報いを覚悟しなければならぬ。だから「よせっ!」と言ったのに… そんなことを考えているうちに、黒装束に身を固めたベーダー卿が通りの向こうに出現。休日の横断歩道が静寂に包まれる。実に危険。こちらは、アンプを暖めたのとお菓子を買いに行っただけの丸腰状態。これで白ホーンシステムからドジな音が出てしまえば…

大袈裟だなぁ〜、ですね。まあ、オーディオの話ですから、そうそうドラマチックな展開にはなりません。お昼ごはんがまだとおっしゃるので、子供と一緒に春野菜ラーメンを食べに行き、煙草を吸い、なんとなくリラックス。「最近、我が家はエヴァンゲリオンブームなのです。」「あっ、あれは面白いね。」というような朗らかな会話。そんな雰囲気のまま白ホーンシステムを聴いて頂きました。いつもの数枚の試聴用CD。ちょっとドキドキしながらお聴かせすると…「ちゃんとALTECの音がするなぁ。」とヨハネスさん。おおっ、笑ってる、怒ってないね! ううっ、良かった。何だかうれしい気持ちになってきた。ありがとう。感謝の言葉、初めての言葉。あの人にも言ったことなかったのに…(エヴァのファンなら分かりますよね)

白ホーンシステムは初期調整の段階から非常にまとまりの良い音が出ており、あれこれ弄る必要がありませんでした。−24dB/octの遮断特性を選択すると、ダークサイドの音の遺伝子が感じられる分厚い音になります。ヨハネスさんには、主にこの設定で聴いて頂きました。この設定、クラシックにぴったりなのですが、それ以外のCDだともう少しすっきりさせたい気持ちになることがあります。それで−48dB/octの遮断特性の設定をあれこれ試しています。これがなかなかうまくいきません。もしかすると−36dB/octぐらいがいいのかもしれないなぁと思っています。

次に、白ホーンシステムと同じ部屋に置いてある電子ピアノシステムの2155Hと1808−8SPSを聴いて頂きました。大型ホーンを使用している白ホーンシステムには太刀打ちできませんが、伝統的なJBLサウンドを聴かせてくれます。白ホーンシステムと電子ピアノシステムは、1台のDVDプレーヤーのSPDIFのRCA端子と光端子からそれぞれデジタル信号を受信しているため、同時演奏が可能です。ワルターのブラームス交響曲第3番(モノラル)の同時演奏を行うと、「うん、これはヒントになる」とのご感想。ALTECとJBLのキャラクターが溶け合い、さらに部屋中の空気が揺り動かされるような面白い効果があります。

なんだか警戒心がすっかり無くなり、調子に乗って2色ホーンシステムも聴いて頂きました。この2色ホーンシステムにはミッドベース等を加える計画があり、その様子をみるために別アンプにつながれたLS−11EXが同時に鳴っているという変則的な状態になっていました。2色ホーンシステムの音だけ出すと「500Hzあたりが足りない。」「V字型バッフルのウーファー部のローパスフィルターを外してみよう。」とのご指摘。卿は耳が良いのはもちろんのこと、なによりも大切な「その音」への対処法が身についている。これは経験のなせる技。こういうのが、かなわないなぁと思う。こちらは何度も測定しイコライザやクロスをいじり、このシステムの詳細を把握しているので、ヨハネスさんの指摘が非常に正確であることが良く分かります。最後に、Q値を10に設定したノッチフィルターを解除し、2色ホーンの干渉によって生じる3kHzちょい上のピークを聴いて頂くと、すぐにテッシュを3枚まるめてご覧のとおり。この方法でも干渉を消すことができました。



という訳で、白ホーンシステムの前に二人して黙り込んでしまう、という最悪の状況はなんとか回避できました。オーディオは一人でコツコツ、自由で孤独が一番安心かもしれませんが、こういう緊張感のある場面を迎えるのもなかなか楽しいものです。それに、やはりスピーカー談義が面白かった。ヨハネスさん、本当にありがとうございました。また、遊んでやってくださいね。次回は黄色いホーンシステムの試聴会ですか? う〜ん、これはがんばらないと!

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