幸せの黄色いホーン 04話 鳴らしこみ(1)

初めて音を出した時には予期していたとはいえ、相当落胆しました。期待していた低音がほとんど出ず、箱が作りたてのせいかボンついていました。高音はメガホンをつけたような音で、特にボーカルなどカーカーした感じで聴けたものではありません。これは酷かったです。

とはいえ、中学生のころオーディオ店で聴いた4320(フォーティスリー、トウェンティーと読むの?)と似た細身のシャープな音の傾向は感じ取れました。

鳴らしこみは家族が外出しているときに大き目の音で行いました。SONYの5枚のCDチェンジャー(定価5万円)を使用しているため、適当なCDを載せて、無責任にも散歩に出てしまうのです。

エージングが進んでくると、少しだけ低音が出るようになってきました。広い面で前方にある空気を押し出すような低音が出てきます。38cmはこういう鳴り方をするのか、と初めて知りました。

高校生のころ、最初の自分のスピーカーとして25cmフルレンジのコーラル10F−60を片チャンあたり2発使ったスピーカーを自作して使っていました。150リットル程度の箱と組み合わせたダブルウーハーです。コーン紙の総面積は38cmとほぼ対等だったのですが、こういう鳴り方ではなかった。

大学生になると、この10F−60一発を、やはりコーラルの10DU−60Bというドロンコーン(JBL風にいうとパッシブラジエター)と組み合わせ、オーディオユニオンの55リットルのキット箱に収めたものを長く使用しました。ツィーターはオンキョーのTW40A。これが2作目です。

10DU−60Bのセンターキャップには円盤状の金属板を何枚かボルトで装着できるようになっており、これでコーン紙の実効質量を調整できるようになっていました。このドロンコーンのシステムの低音は、ダブルウーハーの前作よりもずっとオーディオ的な低音を聴かせてくれました。それから、この2番目のシステムは長年あれこれ調整を続けたため、最終的にはなかなか良く仕上がりました。

今になって考えてみると、10F−60は、強力な磁気回路(38cmクラスの規模)と軽くて強靭なコーン紙を備えていたため、使いこなしが難しいユニットだったと思います。



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